ログカラキ

音楽や漫画が好きな週末ロードバイク(Cannondale)乗りのブログ。

近藤史恵「サヴァイブ」が面白い。

ロードレースを題材にしたミステリー小説で、前作の「サクリファイス」「エデン」の登場人物が出てくる短編集です。
チーム内の人間関係、自分自身との葛藤の描写が多いので、ロードレースの知識が無くてもすんなり読めると思います。どうしても必要になってくる用語に関してはくどくならない程度に入っています。また、物語の真実を後半になって一気に明かすようなミステリー要素も楽しめる作品です。

サクリファイス、エデンの主人公であった白石誓(ちかう)は勿論、伊庭や赤城、そして石尾といった白石の日本でのチームメイトにスポットをあてた話も多数収録されています。特に赤城と石尾との過去のエピソードには結構尺がさかれており、読みごたえがありました。あまり明るい雰囲気では無いのですが、結末は割りと爽やかです。

ロードレースという日本ではマイナーなスポーツが題材ですが、特に読みにくさを感じさせない筆運びは素晴らしいです。登場人物それぞれの心情も丁寧に描かれているので、同じ話でも誰に感情移入するかで印象が変わってくるかもしれません。ロードレース、ロードバイクに興味がある方にはおすすめです。


サヴァイヴ (新潮文庫)

サヴァイヴ (新潮文庫)