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ログカラキ

音楽や漫画が好きな週末ロードバイク(Cannondale)乗りのブログ。

野村進「調べる技術・書く技術」

活字を読むのが好きで、自分の趣味に関することの雑誌や書籍を集めて読んでいた。下手の横好きだけど、昔から文章を書くのも好きだ。ブログを始めたのもそれが理由と言える。小説など文学作品というよりは雑誌やインターネット上のテキストサイトなどの文章を読むのが気に入っていた。つまりは大抵事実が元になっている。自分の知らないところで何が起こっているのか、当事者や関係者はその物事に対して何を感じたかを知りたかったのかもしれない。
 
この本はノンフィクションライターである著者によるノンフィクションライターとしての仕事の進め方を記したもの。取材を行うにあたっての資料集めや取材時の礼儀、原稿の書き進め方から取材で集めた資料の活用方法。更には市販の封筒を加工して使う「袋ファイル」による整理法から簡易机の作り方まで具体的な例を交えて説明されている。流石に四半世紀以上ライターとして活動されているだけあって、文章はとてもまとまっており読みやすい。新書にしては割とボリュームがあるのだけれど、途中でダレることなく読むことが出来た。また、資料収集や原稿の執筆などフェーズ毎に章分けされているので気になる箇所から読むという事も可能だ。後半に挙げられている実際に雑誌に掲載された著者の文章も、例文ということを忘れてしまいつい読みふけってしまう。どれもがその先が気になるものばかり。作中には他のライターによる文章も引用されているが、巻末にはそれらの参考文献リストが載っているのでそこから興味ある本をピックアップして読むのも良いだろう。著者も上質な文章を濫読することを推奨している。
 
資料集めも大事だけど、やはり一番身になるのは自分の脚で歩きまわって集めた情報だと思う。この情報を著者は「一次情報」と呼んでいる。勿論書籍やインターネットなどでも情報は集めることが出来るし、取材前の予備知識の収集も可能だ。しかし、それらは結局一度世の中に出てしまった情報。勿論それらを組み合わせて文章を作成することも出来るが、全く目新しい情報とは言えない。だから取材をして、自分自身でしか集められない情報を集める。それらを文章にまとめて世の中に発信することに価値があるのだろう。
 
私はライターではないのでこれらの情報がどこまで有用なのかは判断できないけれど、物凄く具体的に自分の手の内を明かしているように思える。次の世代にライターとしての技術や礼儀をしっかりと伝えたいという気持ちがあったとしても、思わず「いいいんですか?」と聞きたくなってしまうくらい。しかしそれだけに読み応えは抜群と言えます。専業のライターだけではなく物書きに興味のある方なら面白く読めるかと。
 
調べる技術・書く技術 (講談社現代新書 1940)

調べる技術・書く技術 (講談社現代新書 1940)