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ログカラキ

音楽や漫画が好きな週末ロードバイク(Cannondale)乗りのブログ。

ホラーをミステリーで挟んでサイコをまぶしたような小説~道尾秀介「向日葵の咲かない夏」~

「やられた」

 
以前読んだラットマンでも思ったけど、著者のミステリーを読むと大抵こう呟いてしまう。今まであまりミステリーを読んでこなかったから余計にそうだ。
 
主人公はミチオという小学4年生の少年。終業式の日に彼が同じクラスのSの家に夏休みの宿題を届けに行くと、家の中でSが首を吊って死んでいるのを見つけてしまう。ミチオが慌てて小学校へ戻り、担任の岩村先生と刑事たちと一緒に再びSの家へ行くとSの死体は無くなっていた。事件の事は警察に解決してもらえると思ったミチオだが、Sは思いもよらない形でミチオの前に現れた。ミチオはそこから段々と事件の真相へ近づいていくことになる。

 

序盤のSの自殺からその直後はどちらかと言えばミステリーよりホラーに近い。Sの亡霊が存在するかのように匂わせる描写もある。しかしSは死んだ後に蜘蛛に生まれ変わってミチオの前に現れた。この生まれ変わりが突拍子も無い設定に思わせておいて、後々大きな伏線になる。僕が単純と言われればそれまでだが、とにかくミスリードが多く張り巡らされている。

 

生々しい死体の描写(人間だけでない)や人によっては不快感を覚えるような性癖等の描写もあるので手放しで万人に薦められるのかは疑問が残るけど、新進気鋭の作家による濃いミステリーを味わいたい方は一読の価値があると思う。

 

向日葵の咲かない夏 (新潮文庫)

向日葵の咲かない夏 (新潮文庫)