斉藤環「ひきこもりはなぜ治るのか」
勤務医として20年以上、臨床現場で俗に言うひきこもりや精神に疾患を抱えている人びとと向き合ってきただけあって、なかなかどうして現実的な内容になっている。
ひきこもりにとっての問題は対人関係が無いこと。家族間では二者関係となり距離が近すぎる為に上手くコミュニケーションが取れない場合がある。親戚の叔父さんや近所のお兄さんなどある程度距離を持った第三者の中に支援者がいると効果的。特に異性の第三者がいるのがベストらしい。ひきこもりに恋人が出来るのかという疑問もあるけど…。
あとは治療に依存させ過ぎないようにすることも大事なようだ。治療が済んだら治療者(医者や専門家)の存在は忘れてしまうくらいが丁度良い。また、治療者は代替可能なものにしておく。カリスマと呼ばれる人は替えが利かないので、将来離別の可能性を考慮すると止めておいた方が良いらしい。
印象に残ったのは以下の2つの言葉
豊かなアイデアは、しばしば複雑な内部の産物である自己愛は他人を愛する為にも必要なもの
自分自身引きこもりでもないし過去にそういった経験は無いけど、現場での経験を元に書かれているおかげか割とすんなりと納得して読むことが出来た。心理学に少し興味がある人にも良いかもしれない。
ひきこもりはなぜ「治る」のか?―精神分析的アプローチ (ちくま文庫)
- 作者: 斎藤環
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2012/10
- メディア: 文庫
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