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ログカラキ

音楽や漫画が好きな週末ロードバイク(Cannondale)乗りのブログ。

桜木紫乃「ラブレス」

壮絶だった。フィクションなのにここまで血の通った人生の描き方が出来るものなのかと感心させられた。
 
昭和50年代に北海道の開拓地で生まれた百合江の人生の物語。
貧しい農家に生まれ、酒飲みの父親の借金返済の為に15歳で薬屋に奉公に出された百合江。奉公先で訪れた祭りの舞台に立つ一条鶴子という歌手の歌に魅せられその日の内に弟子入りを志願。奉公先を抜け出し、旅芸人一座の仲間になる。百合江は幼い頃から歌うのが好きで得意だった。全国を転々と回る暮らしを楽しんでいた矢先に看板役者が次々と亡くなってしまい、一座は解散する。一座で仲間だった女形でギター弾きの宗太郎と共に東京で流しをしながら何とか食いつないでいた。しかしある日百合江の妊娠が発覚。急遽東京から北海道へ戻り無事出産する。百合江の妹である里実に住処を世話してもらい、親子で平穏に暮らせると思っていたら夫である宗太郎が失踪してしまう。
女手一つで娘の綾子を育てていると、新たな結婚の話が舞い込んできた。一見誠実そうに見えたが実は多額の借金が結婚後に発覚。返済の為に百合江は旅館で働くことになる。
 
昭和50年代から現代までにかけて、百合江という一人の女性の生涯を描いている。まるで実在した人物かのように息づいている。あとこの作品の男は大抵何か問題がある。唯一一人だけ凄く優秀な男がいたけど結局結ばれることは無かった。
 
百合江が母親を実家から連れてきて、自宅で紅白饅頭を食べさせたシーンとかは印象に残っている。
 
割と生々しく、決して明るい話では無いけれど、読み応えのある小説を読みたい方には薦められます。
ラブレス (新潮文庫)

ラブレス (新潮文庫)