ブラックユーモアアンソロジー
ヴォイニッチホテルの3巻を買いました。これで完結巻なのですが、最後は諸々綺麗に終わってくれましたね。ただし過去最高にグロい描写も多いです。姐さん強いわー。
こ の作者である道満晴明氏は可愛らしいデフォルメされた絵柄(なおかつ安定して上手い)とブラックユーモア、時にはエログロを交えて描くのがとても上手いと 思う。時折キャラクター達にあえて台詞らしい台詞を言わせることで妙な間が生まれている場面がある。そこが笑えたり、時には色々と察してしまって暗くなっ たりしながら読んでいます。
ヴォイニッチホテルは離島のホテルを舞台に様々な登場人物が動く群像劇ですが、短篇集も非常に出来が良いのです。初代ポケモンよろしく3色あります。
で、ヴォイニッチホテル3巻を読みながらふと思ったのが、この作者の描く話ってサキの短篇集にも似てるなということ。
サキはイギリスの作家で本名はヘクター・ヒュー・マンローと言います。短編の名手と呼ばれているそうですが、当然そんなこと私は知りません。何故買ったのかと言われると何となく、です。強いて言うなら値段も手頃で短篇集なら通勤電車や少し空いた時間にでも読みやすいだろうと思ったからです。そしてこれがまた面白い。文庫本サイズで1話が大体7.8ページくらいの文量。そこで最後の最後に毒をきかせたオチが待ち受けており、この毒加減は道満晴明作品と通じるものがあると勝手に解釈しています。人間の浅ましさだったり、どうしようもない間の悪さだったり。作られた時代は違えどベクトルはとても似ていると思うのです。
こういうフィクションの中の毒を受け入れる余裕がもっともっと出来れば良い世の中になるんですかねえ。