ログカラキ

音楽や漫画が好きな週末ロードバイク(Cannondale)乗りのブログ。

辺見庸「今ここに在ることの恥」

数年前に「感動した!」と言っていたかつての首相を「出来の悪いフィクション」と揶揄したり何だり、なかなかに過激な言い回しのある本。脳卒中にかかり右半身が麻痺してしまっているそうだけれど、そんな状態になっても伝えなくてはいけないと、その姿勢だけで日本はそれだけ異常になってしまっていると訴えているかのようだ。
 
この間読んだ反逆する風景やもの食う人びとに比べるとかなり「怒り」が込められている本だと思う。特に後半にある講演会の草稿を加筆修正した「今ここにあることの恥」はその怒りが顕著だった。この講演は5年近く前のものだけど、報道機関や政府に対する意見は今でも充分頷ける内容だ。
 
一昨日見たテレビのニュースであるタレントが路上で一般人とトラブルになって書類送検された件が流れていたけど、決して書類送検という単語は使わずに、「○○さんの書類を送付しました」なんて言い方をしていた。あたかもそのタレントが悪くないかのように伝えていてうんざりした覚えがある。報道機関がやる行為だろうか。
 
かといって僕もそんな偉そうな事を言えるような殊勝な人間でも無く、周りに流される事も少なくない。自戒の為にこの本を読んでこの記事を書いた。
 
一人一人が自分の頭で考えないと、馬鹿な意見も馬鹿だと気付かずに従わさせられてしまうかもしれない。
 
いまここに在ることの恥 (角川文庫)

いまここに在ることの恥 (角川文庫)