佐久間結衣「コンプレックス・エイジ1巻」
元々はWebで公開されていた、ゴスロリ趣味の既婚女性が主人公の読み切り漫画を読んで作者の存在を知った。絵も上手くとっつやすい。何より日常の中に潜む苦しみの描写が良かったのを覚えており、ついに地元の本屋に入荷していたので買った。読み切りは巻末に入っており、本編はタイトルになっている連載作品。
主人公は片浦渚・26歳派遣社員。趣味はコスプレ。
この漫画では、主人公・渚の周囲のコスプレイヤーへの嫉妬や苛立ち、現実の自分とキャラクターとのギャップによる絶望感など、人間の感情でも暗い部分が多く出てくる。主人公が傾倒しているコスプレはウルルとい う小柄な魔法少女。しかし渚はどちらかと言えば長身でスレンダーな体型。しかし、そこを整った顔立ちとこだわり抜いて作った衣装や小道具、ポージングで レベルの高いコスプレを実現させている。更にはイベント前日に衣装の直しを徹夜で行い、ある時は山道を車で走らせて写真を撮ったりと、コスプレに関しては金も努力を惜しまない。傍から見れば痛々しいくらいに没頭している。
それでももう26歳。いわゆる「アラサー」と呼ばれ始める頃だ。自分より若いコスプレイヤーも出てくる。何よりその若い人たちが自分より完成度の高いコスプレをしていたら…。
僕自身、趣味なんて他人に迷惑かけなければ何やっても良いと思っている人間なので、あまり他人の趣味をどうこう言うつもりは無い。しかし他人の趣味を馬鹿にする人間もいる。たとえ誰にも迷惑をかけていなくても。
1巻の最後では、反りの合わない職場の人間にコスプレ姿を見られてしまうところで終わっており、更なる波乱が予想されます。おまけとして渚がハマっている作品の細かい設定がずらずらっと書かれている。